世界的な社会課題SDGsについて取り上げ、みんなの価値観の変化を探るシリーズ「みんなのSDGs」。今回は「ジェンダーフリー」について、オレンジページが国内在住の成人女性1100人に調査しました。
ジェンダーフリーとは、性差による役割分担にとらわれず、「だれもが平等に自分が望む生き方を選択できるようにしよう」という意味。意味を理解している人は41.8%で、半数以下という結果でした。また、日常生活でのジェンダーが現れやすい夫婦の家事シェアについても尋ねると、分担の割合については満足している人が6割いる一方で、手間のかかる家事は妻の負担が多い傾向にあることもわかりました。
【ダイジェスト】
ジェンダーフリーの認知率84.0%。意味まで知っているのは41.8%
家事シェアは、「男女どちらかにかたよらない」のが理想
家事ごとの分担率、料理は6割、トイレ掃除は7割が「妻のみ」
■ ジェンダーフリーの認知率84.0%。意味まで知っているのは41.8%
ジェンダーとは、社会的・文化的につくられる性別や、いわゆる「男性らしさ・女性らしさ」と表される性差のこと。持続可能な社会をめざす国際的な取り組みSDGs でも、「ジェンダー平等を実現しよう」という目標として掲げられています。今回の調査では、ジェンダーという言葉の認知度は97.4%と高いものの、意味を理解している人は63.5%止まり。「浸透している」とまでは、まだまだいえないようです。また、ジェンダーに関連してよく使われる言葉の一つが、ジェンダーフリー。性差による役割分担にとらわれず、「だれもが平等に自分が望む生き方を選択できるようにしよう」という意味を表しています。こちらも、意味を理解している人は41.8%で、半数以下という結果でした。
たとえば、一般的に男性が電車の運転士になるのは普通のことなのに、女性の運転士だと珍しいと感じる人が多いのは、まさにジェンダー視点によるもの。まずは言葉の意味を理解することが、ジェンダーフリーな社会への第一歩になるのかもしれません。
■ 家事シェアは、「男女どちらかにかたよらない」のが理想
家庭内のジェンダーが浮き彫りになりやすいのが、夫婦の家事分担。そこで家事に関する意識や価値観を聞いたところ、大多数の人が、家事をするのは「家族の一員として当然」(賛成+どちらかといえば賛成を合わせて96.1%)のことであると考え、子どものお手伝いも「女の子でも男の子でも同じようにすべき」(同、96.2%)と回答しています。
「家事は、男女どちらか一方にかたよらないようにするべきだ」は、「賛成+どちらかといえば賛成」が88.4%で、家事は夫婦で担うのが理想と考える人が多いよう。世代別に見ると、ほぼすべての世代が9割近い数字を示すのに対し、40代に限ってはやや落ち込み、84.2%。実際、他の世代では、「気づいたほうが、また得意なほうがやるようにしている」(30代・専業主婦)、「朝食は夫、弁当、夕食は私が作っています」(60代・パート)など、自然な形で分担している声が目立ち、40代からは「私だけの負担が大きく、仕事と家事育児に人生を消費しているような虚しさを感じる」(40代・パート)など、家事の分担が進まない状況に、疲弊しているケースも見受けられました。
■ 家事ごとの分担率、料理は6割、トイレ掃除は7割が「妻のみ」
現在の家事分担の割合については、「満足」「やや満足」が62.5%。満足している人がやや優勢のようです。夫婦でどの程度分担しているか家事ごとに調べると、分担率が高いのは日用品の買い出しや整理収納、ごみ出しなど。逆に分担率が低いのが料理39.7%、トイレ掃除27.8%。比較的家事シェアが進んでいる30代であっても、料理49.0%、トイレ掃除38.8%と、妻の負担が多い傾向は変わりません。「料理が私担当になっている。料理は、買い出し、メニューを考える、調理するなど、どの家事よりも一番大変だと思う。例えばごみ出しをしているからといって、互いに1つずつ負担している、平等だとは思わないでほしい。」(30代・パート)、「トイレ掃除、汚したら即やってくれるといいのに。
」(30代・専業主婦)など、手間や時間がかかるこの2つの家事は妻にかたよりがちのよう。シェアの理想と現実のギャップに不満を抱えている人が、少なからずいることが見てとれます。
一方で、「家庭の家事の分担は●●」。この●●の部分を自由に回答してもらったところ、多かった回答は「お互いさま」「できる人がやる」「助け合う」「全員で」といった言葉が集まり、性別という視点だけにとどまらず、家族で助け合い、一人だけに負担をかけないようにという思いが感じられます。「100家庭100色。いろいろなスタイルがあっていいと思う」(50代・専業主婦)というコメントもあるように、家事の分担に正解はありません。大切なのは、お互いが思いやりの気持ちをもって、柔軟にサポートしあうことなのではないでしょうか。
家事シェアの実態から家庭内のジェンダーに関する思いを分析してみると、「男だから、女だから」という固定概念に縛られず、「自分が得意なことをする」「自分らしく」「どちらかにかたよりがないように」など、それぞれの思いを尊重しようという視点が見えてきました。そんな考え方が家事以外のことでも当たり前になれば、自然とだれもが自分らしく、心地よく生きられる社会に近づける。そんな期待を感じさせる結果となりました。
アンケート概要
●調査対象:オレンジページメンバーズ・国内在住の20歳以上の女性(有効回答数1100人)
●調査方法:インターネット調査
●調査期間:2022年4月22日~26日
●「オレンジページくらし予報」について
読者モニター「オレンジページメンバーズ」には、さまざまなくらし情報・くらし体験によってはぐくまれた“くらしの目利き”たちが数多く所属しています。そんなメンバーたちの声を集めて<次のくらし>を読み解いていくのが「オレンジページくらし予報」です。WEB上でのアンケート調査、座談会など、ご相談に応じて展開いたします。
●『オレンジページ』について
失敗なくおいしく作れるレシピ情報が支持され、今年創刊35周年を迎えた生活情報誌。30~40代の主婦を中心に幅広い読者層を誇ります。発行部数=249,627部(2021年印刷証明付発行部数)。
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