積水ハウス株式会社は、子どもの独り立ちによるライフステージの変化に伴う生活空間のご提案を目的に、全国の夫婦のうち、同居の子が巣立った40~60代の既婚男女を対象に「子どもの巣立ち後の暮らしに関する調査」を実施しました。
積水ハウスの研究機関の住生活研究所では、暮らしにおける「幸せ」のさらなる追求のために「住めば住むほど幸せ住まい」研究として様々な調査を実施しています。今回は子どもが巣立つ機会として多い進学や就職の新生活の時期に合わせて、子どもが巣立った後の暮らしや心情の変化、お悩みなどを調査しました。実際に本調査では、約7割が自身の子どもが進学や就職のタイミングで家から巣立ったと回答しています。
~調査サマリー~
●子どもの巣立ち後も半数以上が子ども部屋の“もの”をそのままの状態に。子ども部屋の未活用率は43.9%
●子ども部屋を別の用途で活用する人のうち4割は巣立ち後1年以内に使用。約3割はリフォーム実施または計画
●男女で異なる子どもの巣立ち後の夫婦生活の満足度。ポイントは会話量と家事分担の見直し
性別によって差が出た子どもの巣立ちに対する心情や行動の変化についての調査結果をはじめ、子どもの巣立ち後に意識したい暮らしの4つの「幸せTips」をご紹介します。
■子どもの巣立ち後に生まれる「時間」に対する男女の異なる心情、女性の約半数は「自分の時間」に
子どもが巣立った時の心情を聞いたところ、女性の最も多い回答が「自分の時間が持てる/増える」の49.8%(男性との差+20.2ポイント)で、続いて44.8%の「寂しい」(男性との差+15.6ポイント)でした。男性の最も多い回答として「子育ての達成感・安心」が35.4%(女性との差+3.6ポイント)、続いて「夫婦の時間が持てる/増える」が30.3%(女性との差+12.6ポイント)という結果でした。男女で回答のポイント差が大きい項目をみると、「子どもの巣立ち」によって生まれる「時間」に対する意識の違いが見受けられます。
積水ハウス 住生活研究所「子どもの巣立ち後の暮らしに関する調査(2023年)」
実際に子どもの巣立ち後の「自分の自由な時間」の変化として、女性の82.0%が「増えた」と回答しました。これは、男性の52.7%と比較すると29.3ポイントも多い結果です。「自分の自由な時間」において、男女でどのような違いがあるか「増えた」理由を調査しました。
積水ハウス 住生活研究所「子どもの巣立ち後の暮らしに関する調査(2023年)」
「自分の自由な時間」が増えた理由について、男女いずれも「子どもにかける時間がなくなった」が最も多い結果となりました。男女で理由を比較すると、男性は「子どもにかける時間がなくなった」に回答が集中した一方で、女性の60.4%は「家事量が減った」とも回答しました。住生活研究所が昨年実施した全国の20~60代の既婚の男女計573人*1を対象にした「夫婦の暮らしに関する調査」*2で、夫婦の家事分担は変化しつつあるものの、共働きでも約7割の家庭で妻の負担の方が多かったことから、今回の結果は子どもと一緒に住んでいた頃の妻の家事負担率が高いこととも関係がありそうです。
積水ハウス 住生活研究所「子どもの巣立ち後の暮らしに関する調査(2023年)」
なお、セカンドライフ*3を考え始めるきっかけにおいても男女の違いが明らかになりました。セカンドライフを考えている人にきっかけを聞いたところ、男性は「自身の定年/退職」が40.8%(女性との差+29.6ポイント)占めるのに対し、女性は「子どもの巣立ち」が16.6%と最も多く、子どもが巣立ったことで家事量も落ち着き、自分の時間が増えるタイミングでセカンドライフについて考えると予想されます。続けて多いきっかけに、「配偶者の定年/退職」13.0%、「子どもが社会人になった」11.6%など、家族のライフステージの変化の影響が大きいことが伺えます。*3セカンドライフ:ライフステージが変わった後の夫婦2人の新たな生活
積水ハウス 住生活研究所「子どもの巣立ち後の暮らしに関する調査(2023年)」
■子どもの巣立ち後に増えた時間は「趣味の時間」。自宅での趣味において約半数が抱える「空間」の困りごと
子どもの巣立ち後に増えた時間を聞いたところ、全体として「趣味の時間」が37.7%と最も多く、続いて「夫婦で出かける時間」34.3%、「旅行の時間」24.0%という結果になりました。子どもの巣立ち後の趣味に関して、元々の趣味を継続する54.0%に加え、20.4%が新たな趣味をはじめていました。
積水ハウス 住生活研究所「子どもの巣立ち後の暮らしに関する調査(2023年)」
また、自宅外で行う趣味(64.0%)より自宅内で行う趣味(72.0%)が8.0ポイント多い結果となりました。コロナ禍で外出が厳しい時期もありましたが、自宅で行える趣味があるとおうち時間もより豊かに過ごせますね。
ただ、自宅で行う趣味を持つ399人のうち4割以上が趣味を行うにあたって困りごとを抱えていました。最も多い困りごととしては「趣味に掛かる費用」44.8%でした。続いて多かった「趣味を行うスペースや収納」31.4%や「趣味に掛かる設備不足」11.6%など、趣味に関する「空間」の困りごとも見受けられます。内容としては、趣味を行うスペースをはじめ、趣味の道具や素材、収集した“もの”の収納不足、コンセント不足などが挙げられました。
積水ハウス 住生活研究所「子どもの巣立ち後の暮らしに関する調査(2023年)」
■子どもの巣立ち後、半数以上が子ども部屋の“もの”をそのままの状態に。子ども部屋の未活用者は43.9%
趣味に関して「空間」に関する困りごとが多く見受けられましたが、子どもの巣立ち後、子ども部屋を活用されていない人が一定数いるようです。まず、子どもの巣立ち後、子ども部屋において「子どもの“もの”をそのままにしている」人が全体で53.8%を占める結果になりました。また、子ども部屋の活用については「別用途の部屋として未活用」と43.9%の人が回答しました。なお、巣立ち後3年以内の人では「子どもの“もの”をそのままにしている」人が70.9%にも上ります。巣立っても1~3年は自宅にいつ戻ってきてもいいようにと考慮しているとも考えられます。ただ、巣立ち後11年以上経過している人においても、「子どもの“もの”をそのままにしている」人は40.3%という結果になりました。
積水ハウス 住生活研究所「子どもの巣立ち後の暮らしに関する調査(2023年)」
子どもの“もの”をそのままの状態かつ、「子ども部屋」を別の用途の部屋として活用していない人に理由を聞いたところ、「子どもの帰省時の使用」が61.0%と最も多く、続いて「子どもが戻った時の居場所」46.2%、「片付けるのが手間」23.6%という結果になりました。子どもの帰省や戻った時のことを考え、そのままの状態にして普段活用しない人が多いようですが、限りあるスペースのなかで日常的に有効活用できたら良いですね。
積水ハウス 住生活研究所「子どもの巣立ち後の暮らしに関する調査(2023年)」
一方、子ども部屋を別の用途の部屋として活用している264人のうち、約4割は巣立ちして1年以内に子ども部屋を活用しています。巣立ちして4~5年以内にはおよそ9割の人が活用しています。
子ども部屋をどのように活用をしているか聞いたところ、最も多い「倉庫・物置」27.3%に続いて、「夫婦別寝室」の使用が24.6%、「書斎や仕事スペース」の使用が12.5%という結果になりました。なお、子ども部屋を別の用途の部屋として活用している人で、子ども部屋に限らず、工務店や住宅会社に委託するようなリフォームを実施した、または実施計画のある人は28.1%占める結果でした。28.1%の人に実施または計画内容を聞くと、「間取りを変更して大きな部屋、空間を作る」24.3%、「趣味に適した部屋を作る」23.0%、「収納用の部屋(納戸)」20.3%の順となりました。また、老後を考えてバリアフリーにした人も18.9%いました。
巣立ち後の過ごし方やその先のライフステージを見据えて計画できている人とそうでない人で差が見受けられました。
積水ハウス 住生活研究所「子どもの巣立ち後の暮らしに関する調査(2023年)」
■子どもの巣立ち後の夫婦生活における満足度は男女で差が。ポイントは会話量と家事分担の見直し
子ども部屋を別の用途の部屋として活用している人のうち約4人に1人が子ども部屋を「夫婦別寝室」として使用する中、巣立ち後の夫婦コミュニケーションの実態を聞いてみました。子どもの巣立ち後の「夫婦の時間が持てる/増える」という心情において男女で差が見受けられましたが、実際の夫婦の会話量の変化における認識も男女で異なるようです。
巣立ち後、夫婦間の会話が少しでも「増えた」と回答した人を男女で比較すると女性が40.4%に対し、男性が50.9%と10.5ポイント多い結果になりました。夫婦間の会話が増えた理由として多い回答は38.3%の「夫婦で旅行に出かけることが多くなった」、続いて「夫婦で買い物に行くことが多くなった」37.2%、「夫婦の時間の重なりが長い」36.8%でした。夫婦一緒に行うことや過ごす時間が増えると同時に会話量も増えることがわかります。
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積水ハウス 住生活研究所「子どもの巣立ち後の暮らしに関する調査(2023年)」
なお、夫婦間の会話量が増えた人は、子どもの巣立ち後の夫婦生活に対する満足度が高い傾向にありました。会話が「増えた」人の93.0%が満足または少し満足と回答しており、全体と比較して49.1ポイント高くなりました。一方、夫婦間の会話量が減った人*4においては、満足または少し満足と回答した人が15.8 %と低い一方で、少し不満または不満と回答した人が半数に近い44.7%という結果になりました。また、男女で比較すると、不満または少し不満と回答した人は女性が多い(男性との差+11.6ポイント)結果になりました。夫婦の会話量が増えたと感じた人においても女性が少なかったことから、会話量が夫婦生活の満足度に繋がると考えられます。
夫婦二人の生活に満足していない人に理由を聞いたところ、全体の一番多い理由としては「夫婦間の会話の減少」25.0%でした。また、回答を女性に絞ると「家事や役割分担が変わらないから」27.3%(男性との差+19.0ポイント)が最も多い理由となりました。子どもの巣立ち後、満足度の高い夫婦生活を実現するためには、夫婦間の会話量と共に改めて「家事や役割分担」の見直し機会を設けると良いかもしれません。
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積水ハウス 住生活研究所「子どもの巣立ち後の暮らしに関する調査(2023年)」
■4つの「幸せTips」で子どもの巣立ち後の暮らしをもっと豊かに
調査では、子どもの巣立ち後の自由な時間や趣味の時間が増えたことがわかりました。趣味において実施する場所や収納などの空間への困りごとが多い一方で、子ども部屋を日常的に有効活用できていない人が約半数近くいることが判明しました。また、子どもが巣立ったあとの夫婦の会話量が増えると、夫婦生活の満足度も高くなることが明らかになりました。夫婦で過ごす時間が増えるこの機会に、積極的な会話や家事分担の見直しができると良いですね。積水ハウスでは、子どもの成長や巣立ちを見据えライフステージに合わせた暮らしを豊かにするご提案をしています。ここでは、子どもの巣立ち後の住まいや暮らしに盛り込みたい4つの「幸せTips」をご紹介します。
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子どもの巣立ち後の暮らし4つの「幸せTips」
(1) 家事分担のための収納:朝起きて夫婦で分担して家の中を掃除する、など、夫婦で家事を分担できるようになると良いですね。家事の道具もどこに何があるか分からないと手が付けにくいものです。互いに分担していくためにも、道具のしまう場所を共有したり、一覧性のある収納場所を確保したり、道具の収納にも工夫しましょう。マイ家事道具、担当エリアを再分配するなど、家事を互いに自分事化できるようになると、自発的にしたくなるようになりますね。
(2) 一緒をつくるおやつ時間:新婚時代みたいにずっと一緒にいるのはなんか違う…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。熟年した夫婦になるほど、一緒とそれぞれのメリハリがついてくるもの。朝昼晩の三食以外にも、おやつの時間をつくってみるのはどうでしょうか。研究からも、普段はそれぞれ過ごしていても、おやつを一緒に楽しんでいる夫婦の姿が見えてきています。とっておきのお菓子と飲み物を用意して、楽しい時間にしてみるのも良いですね。おやつを楽しむ場所として、テラスやバルコニーも活用するのはどうでしょうか。外で食事をすると、いつもと違う雰囲気で、夫婦の会話も弾むかもしれません。
(3) 子ども部屋活用:子ども部屋をスムーズに活用するためには、巣立ちのタイミングで子どもと話しておくと良いですね。子どもの物をまだ片付けていない人も、子ども部屋の収納を見直し、雑多な趣味の道具や材料、作品等を整理整頓できるスペースをつくることからはじめてみるのはいかがでしょうか。インテリアも自分好みにしてしまいましょう。子どもの帰省用の部屋には和室がオススメ。普段は布団を押し入れにしまっておき、部屋を多用途に使うことができます。余裕があれば、思い切って、他の部屋とつなげて夫婦2人にぴったりな空間をつくってみても良いですね。
(4) 旅行の思い出を飾る:夫婦で出かける時間や旅行の時間が増えた人が多いようですが、写真やお土産をしまいこんでいませんか。せっかくの旅の思い出を自宅でも楽しむために、買ってきたお土産物を飾る思い出コーナーを作ると、旅行やお出かけがより一層楽しくなりそうです。一緒に子どもとの写真を飾ると家族のアーカイブにもなりますね。
ぜひ皆様も4つの「幸せTips」を参考に子どもの巣立ち後の暮らしを考えてみてはいかがでしょうか。
■住生活研究所担当役員 メッセージ
子どもが家から独立したら、再び夫婦2人の暮らしが始まります。
今回の調査では、子どもの巣立ち後に夫婦間の会話量が増えた人は生活の満足度が高いことがわかりました。夫婦がいつまでも豊かな気持ちで暮らせるように、夫婦で一緒に趣味を始めるなど新しいことにチャレンジするのにも良い機会です。好き嫌いはあるとは思いますが、ペットを飼ってみるのはいかがでしょうか。ペットは、犬や猫だけでなく、鳥やウサギなどの小動物、熱帯魚なども人気があるようです。癒しだけでなく、ペットを通じて、新たに交流も広がるかもしれません。ペットとの暮らしは、会話だけでなく、夫婦にとっても大きな喜びももたらしてくれるはずですよ。
これからの夫婦2人だけの時間をいつまでも大切に暮らしていきたいものですね。
河崎由美子
執行役員 住生活研究所担当
1987年入社。高校入学までの12年間を海外で過ごした経験や子育て経験などを生かし、総合住宅研究所でキッズデザイン、ペット共生、収納、食空間など、日々の生活に密着した分野の研究開発全般に携わる。
住生活研究所長を経て2023年2月より現職。一級建築士。
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執行役員 住生活研究所担当 河崎由美子
<「子どもの巣立ち後の暮らしに関する調査(2023年)」調査概要>
調査期間 : 2023年1月20日~22日
集計対象人数: 554人
集計対象 : 全国の夫婦のうち、居住する子が巣立った40~60代の既婚男女
<記事などでのご利用にあたって>
・引用元が「積水ハウス 住生活研究所」による調査である旨と、引用元調査「子どもの巣立ち後の暮らしに関する調査(2023年)」の記載をお願いします。
・積水ハウス ウェブサイトの該当記事
(
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/20230330/ )へのリンク追加をお願いします。
<その他参考データ>
*2積水ハウス 住生活研究所「夫婦の暮らしに関する調査(2022年)」
関連リリース:
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/20221108/
<住生活研究所について>
画像14:
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住めば住むほど幸せ住まい ロゴ
積水ハウスが2018年に開所した、日本の企業として初めて「幸せ」を研究する研究所です。
人・暮らしの視点で、ライフステージ・ライフスタイル、そしてこれからの住まいのあり方の調査・研究を行っています。今後迎える「人生100年時代」には、暮らしにおける「幸せ」のさらなる追求が重要と考え、時間軸を意識した「住めば住むほど幸せ住まい」研究に取り組んでいます。研究を通して、幸せという無形価値、つまり「つながり」「健康」「生きがい」「私らしさ」「楽しさ」「役立ち」といった幸福感を高め、家族やライフスタイルの多様な変化に対応する幸せのかたちをお客さまへご提案することを目指しています。
ウェブサイト :
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/rd/humanlife/
これまでの調査リリース:
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/
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